「Makeを使ってみたいけれど、Zapierと何が違うのか分からない」「料金体系が複雑で、自分の使い方だとどちらが安いのか判断できない」——業務自動化ツールを検討すると、必ずこの壁にぶつかります。本記事では、ノーコード自動化ツールMake(旧Integromat)の使い方を、Zapierとの違い・料金の考え方・最初のシナリオの作り方まで、実際に触ってわかったつまずきポイントを交えて解説します。比較表や「どちらが向くか」の判断軸も用意したので、導入前の判断材料にしてください。
Makeとは?ノーコードで業務を自動化できるツール
Make(メイク)は、複数のWebサービスを線でつないで処理を自動化するノーコード自動化プラットフォームです。旧称はIntegromat(インテグロマット)で、2022年にMakeへブランド変更されました。プログラミングなしで「Gmailに届いた添付ファイルをGoogle Driveに保存し、Slackに通知する」といった一連の流れを組めるのが特徴です。
「シナリオ」と「モジュール」という基本単位
Makeでは、自動化の一連の流れをシナリオ、その中の各処理をモジュールと呼びます。たとえば「フォーム送信を受け取る→スプレッドシートに行を追加→担当者にメール送信」なら、3つのモジュールが連なった1つのシナリオです。シナリオはビジュアルエディタ上で、各モジュールを円形のアイコンとして配置し、線でつないで作ります。コードを書く必要はありません。
分岐・繰り返し・フィルターが視覚的に組める
Makeの強みは、ルーター(条件分岐)やイテレーター(繰り返し)、フィルター(条件で止める)といった制御を、すべて画面上で視覚的に組める点です。「金額が1万円以上のときだけ承認フローに回す」といった複雑な条件も、キャンバス上で線を分けるだけで表現できます。後述するように、この分岐や繰り返しが料金にどう影響するかが、Zapierとの大きな違いになります。
Makeの料金体系|2026年最新プランと「クレジット」の仕組み
Makeの料金で最初に理解すべきは、2025年8月27日に課金単位が「オペレーション」から「クレジット」に変更された点です。各モジュールが1回実行されるごとにクレジットを消費し、AI関連の機能は通常より多くのクレジットを消費する場合があります。
無料プランと有料プランの違い
| プラン | 月額(年払い目安) | クレジット/月 | 主な制限・特徴 |
|---|---|---|---|
| Free | 0円 | 1,000 | 有効シナリオ2件まで/実行間隔は最短15分 |
| Core | 約$9〜 | 10,000 | シナリオ数無制限/実行間隔は最短1分/Make API利用可 |
| Pro | 約$16〜 | 10,000(追加可) | 実行ログの全文検索/優先実行/カスタム変数 |
| Teams | 約$29〜 | 10,000(拡張可) | チームでの共有・権限管理 |
無料プランでも3,000以上のアプリ連携やビジュアルエディタが使えるため、まず試すには十分です。ただし「有効シナリオ2件」「最短15分間隔」という制限があるため、本格運用にはCore以上が現実的です。最新の正確な金額はMake公式の料金ページで確認してください。
つまずきポイント:クレジットは「ステップ数」より多く消費する
初心者が必ず誤算するのが、クレジット消費量です。Makeはトリガー・フィルター・イテレーターも個別に消費対象になります。キャンバス上で「3ステップ」に見えるシナリオでも、繰り返しや分岐が絡むと1回の実行で8〜15クレジットを消費することは珍しくありません。「1,000クレジットあれば十分」と思って組んだら、数日で枯渇した——というのはよくある失敗です。最初は小さなシナリオで実行回数とクレジット消費の関係を実測してから、規模を広げるのが安全です。
MakeとZapierの違い|料金・アプリ数・思想を比較
Makeを検討する人の多くが比較するのがZapierです。両者は同じ「ノーコード自動化」でも、課金の考え方が根本的に異なります。
料金モデルの決定的な違い
| 項目 | Make | Zapier |
|---|---|---|
| 無料プラン | 1,000クレジット/シナリオ2件 | 100タスク/2ステップのZapのみ |
| 有料の入口 | Core 約$9〜 | Professional 約$19.99〜(年払い・750タスク) |
| 課金対象 | トリガー・フィルター・分岐を含めて消費 | 成功したアクションのみ(フィルター・分岐は無料) |
| 連携アプリ数 | 3,000以上 | 9,000以上 |
| 得意なこと | 複雑な分岐・繰り返しを安く組める | 幅広いアプリ連携とシンプルな課金 |
どちらが安いかは「ワークフローの形」で決まる
料金面の核心はここです。Zapierはフィルターや分岐(Paths)がタスク数にカウントされないため、条件分岐の多い「賢い」ワークフローを、使用量メーターを気にせず組めます。一方Makeは分岐やフィルターも消費しますが、単純なモジュール単価が安く、大量のデータをループ処理する用途ではトータルで割安になりやすい傾向があります。
つまり「分岐が多く実行回数は少ない」業務はZapier、「処理はシンプルだが大量に回す」業務はMake、という住み分けが目安になります。
アプリ連携の幅はZapierが優勢
連携できるサービス数はZapierが9,000以上で、Makeの3,000以上を上回ります。マイナーなSaaSや国産ツールを多用する場合、Zapierのほうが「目当てのアプリが対応している」確率は高めです。導入前に、自分が使うアプリが対応しているかを両サービスの連携一覧で必ず確認しましょう。
Makeの始め方|最初のシナリオを作る手順
ここでは、Makeで最初の自動化を作る基本の流れを紹介します。題材は「Googleフォームの回答をスプレッドシートに記録し、Slackへ通知する」という定番のシナリオです。
Step1:アカウント登録とシナリオ作成
Make公式サイトから無料アカウントを作成し、ダッシュボードの「Create a new scenario」をクリックします。最初に表示される円形の「+」アイコンが、最初のモジュール(トリガー)の置き場所です。
Step2:トリガーと接続(コネクション)を設定
トリガーに「Google Forms」を選び、Watch Responses(回答を監視)を指定します。ここで初めて使うアプリは、コネクションと呼ばれる認証連携を求められます。Googleアカウントでログインし、アクセスを許可すれば連携完了です。つまずきやすいのはこの認証で、対象のGoogleアカウントを間違えると後続のスプレッドシートが見つからないので、最初に正しいアカウントで連携しておくのが肝心です。
Step3:後続モジュールをつなぎ、テスト実行する
トリガーの右側に「Google Sheets:Add a Row」を追加し、記録先のスプレッドシートと列を割り当てます。さらに「Slack:Create a Message」を追加し、通知先チャンネルとメッセージ本文を設定します。完成したら、画面下の「Run once」で本番実行の前に必ずテストしましょう。テストで各モジュールに緑のチェックが付けば成功です。問題なければ、左下のスケジュール設定をオンにして自動実行に切り替えます。
Makeが向く人・向かない人|編集部の判断軸
最後に、これまでの内容を踏まえて「Makeを選ぶべきか」の判断軸を整理します。
Makeが向くケース
- 分岐や繰り返しを含む複雑な処理を、視覚的に組み立てたい人。キャンバス上で全体像を見ながら設計できるのはMakeの強みです。
- 大量データのループ処理をコストを抑えて回したい人。モジュール単価の安さが効きます。
- まずは無料で本格的なツールを試したい人。1,000クレジットの無料枠で実用的な自動化を体験できます。
Makeより他ツールが向くケース
- マイナーなSaaSや国産ツールを多用するなら、連携数で勝るZapierが無難です。
- 分岐が多く実行回数が少ない業務は、分岐が無料のZapierのほうが割安になりがちです。
- 自社サーバーでデータを完結させたい・無制限に実行したいなら、オープンソースで自前運用できるn8nが選択肢になります。AIを組み込んだワークフローを作りたい場合はDifyのようなLLMアプリ基盤も候補です。
自動化ツールの選定でつまずかないためには、まず「どの業務を、どのくらいの頻度で、どんな形(分岐の多さ)で回すか」を言語化することが先決です。ツール選びと費用対効果の考え方は、AIで業務自動化を始める手順の記事でも詳しく解説しています。あわせて読むと、自分の業務にMakeが合うかどうかの判断がより明確になります。
まとめ:Makeは「複雑な処理を安く回す」自動化に強い
Make(旧Integromat)は、ルーターやイテレーターを視覚的に組める柔軟性と、モジュール単価の安さが魅力のノーコード自動化ツールです。一方で、トリガーや分岐もクレジットを消費するため、実行前にクレジット消費を実測する習慣が、無駄な課金を防ぐ最大のコツになります。
Zapierとの使い分けは「分岐が多いならZapier、処理がシンプルで大量ならMake」が目安。どちらも無料プランがあるので、まずは同じ業務を両方で組んでみて、自分のワークフローでのクレジット/タスク消費を比べてから本契約に進むのが、最も失敗しない選び方です。まずはMakeの無料プランで、最初の1シナリオを作るところから始めてみてください。

